マンションへの帰り道。劇場の前には開演を待つ大勢の人々が集まってきていた。
マンハッタンの街中を歩きまわった帰りに、夕飯のおかずを買いに決まったデリにいつも立ち寄った。
冷蔵庫から目星のビールを見つけてカウンターに持っていくと、かならず身分証明書の提示を求められる。
毎回、毎回、パスポートを見せなければいけないのには閉口し、終いには「昨日も、一昨日も、パスポートを見せた。」と慣れない英語で伝えると、店員さんは申し訳なさそうにあやまっていたが、未成年にアルコールを売らないためなのだ。
愛想はそれほどよくない店員さんとのやり取りにも、ニューヨークの治安のよさ、意外な居心地のよさの秘密が隠れているように感じられた。
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